寝顔


魔界から無事帰還した女神アフロディテは 幸せそうな寝顔ですやすやと眠っていた。
枕元には大きな熊のぬいぐるみと ルシファーからプレゼントされたフランス人形がおかれている。

大天使ガブリエルはアフロディテの頬に軽くキスをして アフロディテの部屋をでた。


さて 今回のお詫びをきちんと大天使ミカエル様へしなくては。

そう思い ミカエルの私室の扉をノックしようとしたら 中から 大きな笑い声が聞こえてきた。
「ミカエル様?」
ノックをしながら そっと 扉を開けたところ 大天使ラファエルがソファーに座っているミカエルを見ながら笑っていた。

「ラファエル 何かあったのですか?」と不安げにそっとミカエルの顔を覗きこんで 思わず噴出してしまった。

そこには目が半開きで白目が見えたまま 大きな口を開けよだれを少したらしながら眠っているミカエルの姿があった。


いつもは凛々しく品があり そして 強さも持ち合わせている大天使ミカエル様。
今まで一緒に暮らしてきたが 一度たりとも弱音を吐いたことが無ければ 人前で居眠りすることなどなかった。
それが 今はなんとも不気味な寝顔で眠っているではないか。
確かに今まで行ったことのない 魔界へのビジョン。
かなり疲れたらしく 今まで欠かしたことの無いアフロディテ様の添い寝を 今日は私に任された。
かなりのエネルギーを消費されたことは事実。


しかし この寝顔は 笑いを抑えるのに必死だ。


噴出したものの必死で笑いをこらえている横で ラファエルはまだ大笑いをしている。

「ラファエル 失礼ですよ」そういいながらも またミカエルの寝顔を見て笑いをこらえるガブリエル。
「しかし ガブリエル この寝顔はまずいだろう。 面白すぎる。 他の天使達にも見せてあげたい」
と腹を抱え涙を流しながら笑うラファエル。


確かに気持ちはわかる。
天界最強の大天使のこの寝顔。
ありえない・・・・・


「いや それは まずいでしょう」笑いをこらえながらも
そっと自分のハンカチでミカエルのよだれを拭きながらガブリエルが言った。

それを見ていたラファエルがまた笑い出した。


「ん????? どうかしたのか?」ラファエルの笑い声でようやく目を開けたミカエル。

「いえ なにも・・・」と ラファエルとガブリエルは真顔で答えたものの 笑いがこみ上げてくる。

「何も無いのに なぜ笑っている。おかしいぞ。
まぁ どうでもいいが そなたたち二人して何をしているのだ?」そういいながらミカエルは背伸びをした。
先ほどまでの 寝顔が嘘のように凛々しい顔になった。
そのギャップがまた二人の笑いを誘ってしまった。


もしかしたら このお方はいつもこのような姿で寝ているのではないのだろうか?

そんなことまで考えてしまう。


やっと 平静にもどったガブリエルが
「今日のお詫びをしに参りました」と言ったところ
「嗚呼 そんなことは もういい。 それに 久しぶりにルシファーに会えたからな」と笑顔で答えるミカエル。
「で、 そなたは何をしているのだ?」とラファエルを見ると 涙を拭いている。
「泣いているのか? どうかしたのか?」と心配そうなミカエルに対し
「いえ アフロディテ様と貴方様が無事戻られて ほっとしたら 涙が・・・」とごまかすラファエル。

「そうか 心配かけてすまなかった」
嬉しそうな顔をして ミカエルはラファエルに返事をした。



汚い・・・
ガブリエルはハンカチで涙をぬぐうラファエルをみた。ハンカチからちらりと見える口元がまだ笑っている・・・・



ところで ラファエルは一体何をしにきたのだろう・・・・ 後で聞いてみよう。










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